Appleの次世代M5チップ計画【予測まとめ】

Appleの次世代M5チップ計画【予測まとめ】

M5搭載iPad Proに関する情報現時点ではApple未発表ながら、BloombergのMark Gurman氏やアナリスト郭明錤氏など複数の有力筋から予測が示されている。

M5は前世代M4を基盤としつつ、NPU(Neural Processing Unit:AI処理専用回路)の強化を中心に設計され、Appleが展開する生成AI機能群「Apple Intelligence」を支える土台となると見られる。AppleはiPadをMacより先行してM5を投入する構想を持っており、タブレットをモバイルAIワークステーションへ進化させる戦略が浮かび上がっている。

M5製造プロセスと演算性能

M5チップはTSMCの第3世代3nmプロセス「N3P」で製造される可能性が高い。

これはM4が用いたN3Eからの改良版で、性能向上や消費電力低減を実現する。Mark Gurman氏の報道によると、M5シリーズはCPU・GPU・NPUの全面刷新が行われ、シングル・マルチ両面で性能が向上する見通しだ。一般的なM5で15〜20%の性能向上、上位のM5 Pro/Maxでは25〜30%向上が予測されており、複雑な3Dレンダリングや8K動画編集といった負荷の高い作業を大幅に効率化する。さらにチップレット構造や新しいパッケージ技術も検討されており、Appleが高性能と歩留まりの両立を狙っていることがうかがえる。

NPUの強化とApple Intelligence

M5で最も重要な進化はNPUの強化だとされる。

Appleは2024年から段階的に展開しているApple IntelligenceをiPadにも導入する計画で、その実行基盤としてM5が位置づけられる。

郭明錤氏は、M5 Proがクラウド側のAI推論処理にも用いられる可能性を指摘しており、これはデバイス内処理にとどまらずクラウドでも通用する性能を備えることを示している。次期iPadOSではApple Intelligenceに最適化するため、標準RAMが8GBから16GBに倍増されるとの見方もあり、AIによるリアルタイム要約や生成タスクが快適に実行される期待がある。

M5搭載機のデザインと表示技術の変更は?

筐体は現行モデルの方向性を継承しつつ、ベゼルがさらに細くなるなど細部の改善が予想される。

OLEDの2層発光型「タンデムOLED」は引き続き採用され、HDRで1600ニト級の高輝度と高い色精度が得られる。さらにBloombergが伝えたところによると、フロントカメラが横向き・縦向き両対応の2カメラ体制になる可能性があり、会議やFaceTimeでの自然な視線を実現する工夫が盛り込まれる見込みだ。Appleロゴを横向き基準に変更する動きも検討されており、横向き利用を前提とした設計思想が強まった。

M5搭載製品の発売時期と価格は?

M5 iPad Proは2025年秋から年末にかけての登場が有力視された。

過去のサイクルと一致しており、2026年にずれ込む可能性も一部指摘されるが、2025年内が主流の見方だ。価格は現行モデルと同水準が見込まれ、11インチで999ドル前後、12.9インチで1299ドル前後からとされる。前回のM4モデルで128GB構成が廃止され、ベースストレージは256GBへ移行しているため、新型も256GBから始まる可能性が高い。さらに4TBモデルの追加も噂されるが、これは確証はない。

競合SoCとの比較と戦略

同時期の競合製品はQualcommのSnapdragon X Eliteが注目されている。

AI推論性能を示すNPU性能は45TOPSに達し、現行M4の38TOPSを上回る数値。

しかしCPUやGPUの総合性能では依然としてAppleが優位を保つという分析もある。Qualcommが次世代でNPUをさらに倍増する計画を発表する中、AppleはM5でNPUを大幅に強化し、iPadにAI体験を深く統合する方針を取る。Gurman氏が指摘するように、AppleはMacよりも先にiPadでM5を投入する戦略を選び、タブレット市場でのリーダーシップ強化を狙っている。これによりiPad Proは単なるタブレットではなく、AI時代を先導するモバイルワークステーションとして地位を確立しようとしている。

タイトルとURLをコピーしました