リチウムイオン電池の過充電の危険性とは
リチウムイオン電池は、スマートフォンから電気自動車まで、さまざまな電化製品で利用されるために、過充電の影響を正しく理解することが大切です。今回は、リチウムイオン電池の基本知識と、過充電時の実験結果から、初心者にも分かりやすくその危険性について解説します。
電気の専門用語としてのSOCとは何か?
スマホの部品のSoCとは別の言葉です。電気用語としてのSOCとはState Of Chargeの略称で、リチウムイオン電池の充電率を表わします。0%は完全放電、100%が完全充電を表します。
リチウムイオン電池の基本
リチウムイオン電池は高容量で軽量なため普及していますが、過充電をした場合は危険です。充電率(SOC)と温度から、正常範囲と異常範囲を分けて説明します。
過充電実験
直接10Vで充電することや低電流でSOC200%まで充電する実験をしました。ただし、実用製品では保護回路により回避されます。
実験では、初めにリチウムイオンバッテリーの基本情報、例えば形状や公称電圧、定格容量などについて確認しました。今回のバッテリー過充電は、公称電圧3.7Vのリチウムイオンバッテリーに対し、その電圧よりも高い4.2V以上で充電をし続けることを意味します。
バッテリーの充電状態によって電圧が変動すること、充電と放電の過程での電圧変化を観察しました。特に、満充電状態での内部電圧は約4.2Vになること、そしてバッテリーを過充電するということは、この電圧以上で充電を続けるということです。
実験の目的は、リチウムイオンバッテリーを意図的に過充電し、その結果を観察することでした。この過充電試験には二つの方法がありました。一つ目は、SOC(充電状態)を200%まで低電流で充電する方法。もう一つは、バッテリーに10Vの電源を直接接続するという極端な方法です。
10Vの電源を直接接続した場合、バッテリーから煙が出始め、バッテリー自体は燃えていませんでしたが、回路が切れ、バッテリーの温度は約43℃まで上昇しました。最終的には、バッテリーのセルから引き出す配線の部分が焼き切れてしまう事態に至りました。今回は保護回路が焼き切れる所で止まりました。保護回路が無い場合は異常高温や膨張などを経て、爆発などが起きる危険性が出てきます。
リチウムイオン電池の安全回路
リチウムイオンバッテリーには通常、過充電、過放電、短絡、過熱などの危険な状況を検知して作動する安全機構が組み込まれています。
具体的には、安全回路は以下の機能を持っています:
- 過充電保護: バッテリーが設定電圧以上にならないようにすることで、過充電時にバッテリー内部で化学反応が過剰に進行し、内部圧力が上昇するのを防ぎます。この機能により、バッテリーの膨張や爆発のリスクを低減します。
- 過放電保護: バッテリーが設定電圧以下にならないようにすることで、バッテリーの過放電を防ぎます。過放電はバッテリーの化学構造を損傷し、再充電能力を低下させる可能性があります。
- 短絡保護: バッテリーが短絡した場合に電流の流れを遮断することで、過度の熱や火災を防ぎます。
- 過熱保護: バッテリーまたはその周囲の温度が設定温度を超えた場合に充電または放電を停止することで、バッテリーの過熱を防ぎます。
充電機器にも他の保護機能、例えば水分検知機能なども付いており、事故防止に多重に保護されています。このような安全機能は、バッテリー自体に内蔵されている場合もあれば、スマホ本体の充電回路に組み込まれている場合もあります。
リチウムイオン電池の安全回路が機能しないとトラブルが大きくなる
電池を長く使うと、内部の部品がぼろぼろになります。このため安全装置が異常な状況に気づきにくくなります。また、強いぶつかり方や大きな損傷を与えたした場合、内部がショートする原因になるかもしれません。
高温下では、内部の化学反応が早くなり過ぎ、安全装置が間に合わなくなることがあります。一部の電池では、性能自体が低かったり、製造ミスが原因である可能性も考えられます。
このような状況では、通常よりも化学反味が速くなり、安全装置の基準値を超えてしまいがちです。結果として電池が異常に高温になったり膨らんだり、火事になる危険性が上がります。
なので電池の状態を常にチェックし、必要があれば新しい電池に交換することが大切です。加えて落としたり傷つけたりするのは避けるようにしましょう。
まとめ
リチウムイオン電池は取り扱いを誤ると火災の危険性があります。保護回路の役割や、劣化による事故も併せて理解する必要があると分かりました。普段から正しい充放電管理を心がけましょう。
以上が、リチウムイオン電池の過充電時の危険性についての解説でした。電気知識が無い人にも分かりやすくまとめることができたのではないかと思います。
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