メモリー値上げの理由は?いつまで?

メモリー値上げの理由は?いつまで?


これは大手パソコン部品メーカーのメモリ部品の価格の値上がりを表している。

メーカー 代表的な製品名 価格高騰前の目安 価格高騰後の目安 値上がり率
Kingston FURY Beast DDR5 32GB(16GB×2) 約32,000円 約76,000円 約2.3倍
Corsair VENGEANCE DDR5 32GB(16GB×2) 約30,000円 約86,000円 約2.9倍
G.Skill Trident Z5 DDR5 32GB(16GB×2) 約25,000円 約40,000円 約1.6倍

メモリー価格の急変

パソコンやスマホに搭載されているメモリーチップ。処理データを一時的に保管する部品で、動作速度や安定性に関わる部品。アプリ起動や、複数作業を同時に行う場面、動画編集やゲームのように処理が重い作業では、メモリー容量が多いほど画面が止まりにくく、待ち時間も短くなる。

いつからメモリーの値段が上昇してきた?

メモリー価格は、2025年から上昇が目立つようになった。2025年6月ごろから一部のメモリーで値上がりが始まり、その後いったん落ち着いた時期を挟んで、10月ごろから再び価格の上昇が強まっている。12月時点で、値上がり前と比べて約3倍程度になった製品も確認されている。

価格の急変を時期で見ると、夏から秋にかけて上昇し、年末に向けて値上がり幅が大きくなっている。影響は、完成したパソコンよりも先に、メモリー単体を販売している店頭で表れ、価格表示や販売制限という形で消費者が実感することになった。

店頭で起きている異常事態とは

価格が急に上がったことで、店の現場では「数が足りない」状態へ対応が始まっている。

2025年12月の初め、秋葉原にある一部のパソコンショップでは、メモリーを買える数を制限する対応が取られた。店頭には「1人につき購入は〇枚まで」といった案内が出され、必要以上にまとめて買うことができない状況が続いている。これは、在庫が少ない中で一部の人が大量に買ってしまうことや、高く売り直す目的の購入を防ぎ、必要としている人にできるだけ行き渡るようにするための対応。

メモリーの役割と重要性

メモリーは、パソコンが作業を行うための一時的な記憶領域で、
容量が大きいほど同時に多くの処理を行える。

画像編集や動画処理、複数のアプリを同時に使う場面では特に影響が大きい。基板に差し込まれた細長い部品として搭載され、通常は複数枚を組み合わせて使用される。この部品の価格上昇は、パソコン全体の性能選択や購入計画に直接影響する。

メモリーの価格高騰を招いたAI需要

メモリーの価格上昇の最大の要因は、世界的なAI需要の拡大。

AIを動かすには大量かつ高性能なメモリーが必要となる。そのため、メモリーメーカー各社は利益率の高いAI向け製品の生産を優先し、一般消費者向けメモリーの生産ラインを縮小している。中には一般向けメモリー市場からの撤退を表明した海外メーカーもあり、供給量そのものが減少している。

パソコン本体への影響

メモリー価格の高騰は、部品単体にとどまらず完成品のパソコン価格にも影響を及ぼす。

国内メーカーは、今後順次パソコン本体の値上げを行う予定を公表している。実際に来年1月以降の価格改定が予告されており、現行価格での購入が難しくなる見通しが示されている。これは部品コストの上昇が避けられないためである。

パソコン購入時期を考える材料

現在は、パソコンやメモリーを安く買える時期とは言えず、
価格が下がる予定は示されていない。近いうちに値下がりする根拠も確認されていない。

パソコンを買いたい人は、これまで以上に価格の調査が必要になる。今の販売価格と、今後予定されている値上げ情報を比べて考える必要がある。あわせて、すぐに使う予定があるのか、予算に無理がないかを整理することが重要になる。メモリー価格が上がっている理由を知っていれば、状況を冷静に判断しやすくなる。

重要ポイントおさらい&結論:

  • メモリーは従来、一般的なパソコン作業を支える部品として使われてきた
  • AI向け需要の拡大により、2025年に入ってから価格が急に上がり始めた
  • 影響はまず部品販売の現場に出て、購入制限や在庫不足が起きている
  • メモリーの値上がりは、今後パソコン本体の価格にも影響する
  • パソコンを買いたい人は、これまで以上に価格とタイミングを調べて判断する必要がある