印西市がデータセンター建設で活性化
密かに活性化している印西市の秘密
千葉県印西市――都心から電車で約1時間の距離に位置するこの街が「データセンター界の銀座」とも呼ばれ注目を集めています。GoogleやAmazon、NTTデータといった世界的な名だたるIT企業がデータセンターを建設しています。印西市に足を運んだ際、住宅地の中に巨大な建物群がそびえ立っているのを目にしました。すべてデータセンターです。外観は用途がわからないように設計されており、一般のオフィスビルと見間違えるほどです。
印西市内にデータセンター建設ラッシュ
印西市役所によると、現在この地域で稼働中のデータセンターの数は10社にのぼります。未公表の施設も数多く存在します。地元の住民は、この急速な変化にさまざまな感情を抱いています。
企業の進出による地域経済の活性化を喜ぶ一方、住宅地の中にデータセンターが増えることに対して不安を感じていると話しています。新しい保育園や公園ができるなど、街のインフラ整備が進んでいますが、データセンターが地域に与える影響については慎重な姿勢を見せています。
IIJデータセンターの内部構造とその機能
印西市にあるインターネットイニシアティブ(IIJ)のデータセンターは、2019年に稼働を開始しました。この施設は、敷地面積が約4万平方メートル、東京ドームと同じ広さを誇ります。外観は真っ白な壁に囲まれており、外部からは何の建物か分からないように配慮されています。データセンター内部は、非常に厳重なセキュリティシステムで守られており、施設内ほぼ全ての扉は常に施錠され、サーバールームに入るには、その都度ロックを解除しなければなりません。
知られざるデータセンターのコンピュータ中身
サーバールームには、無数のサーバーラックが整然と並んでいます。一つのラックには約40台のコンピューターが収められており、設置されたコンピューターは、家庭用コンピューターと比べて、はるかに高い処理能力を持っています。1台のコンピューターで家庭用コンピューター40台分の性能を持っており、1ラックでは、実に家庭用コンピューター1600台分の処理能力に相当。IIJのデータセンターには、約2000台のラックが設置されており、今後6000台まで拡張される予定です。これらのサーバーは、企業の電子メールの監視などの業務用途のほか、更に今後のAI処理専用設備の増築など、更に用途拡大されています。
データセンターに付き物の冷却問題の解決方法
データセンターの運営において、最も重要な課題の一つが空調管理です。サーバーは膨大な熱を発するため、その熱を効率よく冷却しないと、システム全体の性能に悪影響を及ぼす可能性があります。IIJでは、従来のエアコンによる冷却ではなく、外気冷却方式を採用しています。外気冷却方式は、外の冷たい空気を直接サーバールームに取り込んで冷却する方法で、これにより消費電力を大幅に削減できます。外気温が低い時期には、外の空気とサーバーから排出される温かい空気を混ぜ合わせ、外気温が高い時期には、水を利用した冷却装置で空気を冷やしながら、サーバールームの温度を常に25度に保っています。
停電にも備えてぬかり無しなんだとか
IIJのデータセンターでは、停電に備えて2系統の電力回線と自家発電設備を整備しています。これにより、予期せぬ停電が発生しても、データセンターの稼働が継続されるようになっています。IIJは、今後も新しい建物を建設し、AI対応に特化した新たな設備を導入する計画を進めています。
データセンターが印西市に集中する理由とは?
強固な地盤で自然災害に強い地形
印西市がデータセンターの集積地として選ばれた理由は、地理的な条件が大きな要因です。まず、地盤が硬く、地震に対する耐久性が高いことが挙げられます。日本は地震が頻発する国であり、データセンターの設置場所として地震リスクを最小限に抑えることが重要です。印西市は、その地盤の強さから、データセンター建設に適していると評価されています。
成田からのアクセスも良く機材搬入などの利点
また、成田空港へのアクセスが良好であることも、印西市が選ばれる理由の一つです。国際的な企業にとって、主要な空港へのアクセスの良さは、データセンターの運営やメンテナンスにおいて大きなメリットになります。最新機材の運搬撤収や作業員の出入りアクセスの観点から評価が高いです。
電力も安定的で高評価な環境
印西市がデータセンターの集積地として発展する背景には、東京電力による安定した電力供給体制の充実があります。特に東京電力は、データセンターの急増に対応するため、印西市に新しい変電所を建設しました。この動きは、高電圧・大容量の電力を迅速かつ安定的に供給するためのものであり、エネルギー供給の安定確保が大きな課題とされています。
この電力インフラの強化により、印西市はデータセンターの建設候補地としてさらに魅力を増しています。国内外の大手IT企業が次々と印西市にデータセンターを設立しており、この地域のデータセンター群は今後も拡大が続くと予想されています。
また、今後も電力供給体制のさらなる強化が求められており、東京電力は新たな変電所の建設や巨大トンネルの敷設を進めています。こうしたインフラ整備により、印西市はデータセンターの一大拠点としての地位を確固たるものとし続けています。
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