中国からの黒船DeepSeek、米AI企業を激震させ世界注目!
話題のディープシーク問題を解説します。要約もあるので忙しい人は青枠だけ読んでみて下さいね。
米国株式市場でハイテク株が急落
2025年の1月27日にニューヨーク株式市場でハイテク株が急激に売られた。特に半導体メーカーとして知られるエヌビディア株価が大幅に下落したことが大きな話題。下落率はおよそ17%にも及び、失われた時価総額は約6000億ドル、日本円で92兆円近くになると現地メディアが報じた。
通常の値動き範囲をはるかに超えており、ハイテク分野の投資家や企業関係者に大きな驚きを与えた。エヌビディアは、AI関連の高速演算処理を担うGPUを供給する主要企業として長年高い評価を受けてきたが、今回の下落は中国で発表された低コスト型AI技術のニュースが直接的な引き金になっているという見方が広がっている。アメリカのAI企業はこれまで世界をリードすると考えられていたため、このような急激な株価の変動は「予想外の事態」として扱われた。市場には不安感が漂い、トランプ大統領が演説で「AI競争に勝利するため全力を注ぐべきだ!」と発言したことも報じられ、テクノロジー分野での米中対立がさらに激しくなるのではないかと懸念される状況だ。投資初心者にとって株価下落の数値はやや難しく感じられるかもしれないが、要点としては、もともと評価が高かった大企業の価値がわずか数日のうちに大きく落ち込んだ点に注目すればよい。これはハイテク企業が常に新技術の動向に左右されやすいことを示す一例であり、AI分野の国際競争が本格化している象徴である。
中国新興企業「DeepSeek」の台頭
今回の株価急落をもたらした主役は、中国のAIスタートアップ企業「DeepSeek」であると報じられている。
同社はわずか2年前に設立されたとされ、生成AI(人間の言葉を理解して新たな文章や回答を作り出す人工知能)の分野で新たな技術を開発したと公式に発表した。そのサービスはアメリカ国内のアプリストアにおいて、ダウンロード数がチャットGPTを上回ったという情報が伝えられており、今までアメリカ勢が独走していたAIの競争地図が変わりつつあることを示唆している。電気自動車の分野でも後発国のイメージを打ち破るかたちで世界を席巻した中国メーカーがいたように、AI分野でも同じような躍進が起こり得る点が注目されている。DeepSeekはチャットGPTに似た対話形式のユーザーインターフェースを採用しているらしく、英語と中国語に対応していると言われているが、セキュリティ上の問題などが理由で現在は日本からのアカウント登録が制限されているため、実際に使ってみたい人がすぐに試せるわけではない状況だ。それでも登録が可能なアメリカや中国では利用者が急増しており、アメリカのメディアでも「新たなゲームチェンジャー」として扱われている。AIというと専門的な知識が必要だと思われがちだが、チャット形式の生成AIは誰でも使いやすいインターフェースを持つことが多いため、利用者は技術的ハードルをあまり感じずに導入できることが強みになっている。
低コスト開発の衝撃とメディアの報道
CNNや他の海外メディアが特に注目しているのは、DeepSeekが驚くほど少ないコストで高度なAIを開発したという点である。
報道によると開発費用は560万ドル前後、日本円では8.7億円程度と伝えられている。一方で、アメリカの大手AI企業が同等のモデルを作る際には数十億ドルを要するとの推計もあるため、コスト面での差が非常に大きい。AIモデルは膨大な計算と大量のデータを必要とするため、その開発には巨額の資金が必要というのが通説だったが、もしも中国の新興企業が効率的な方法で同等の性能を実現できるのであれば、これまでの常識を根底から変える要素になり得る。
エヌビディアの株価下落も、米国の投資家たちが「高い開発コストを前提にしていたビジネスモデルが崩れるかもしれない」と警戒感を強めた結果だとみられている。開発費用の低さはスタートアップにとっては大きな武器になる。大手企業が大量の資金を投入して時間をかけて研究開発を続ける間に、低予算かつスピード感を持って革新的なAIを生み出される可能性があるからだ。投資に詳しくない人にとっては、これだけの費用差が業界に与える影響は想像しづらいかもしれないが、企業が競争に勝つために欠かせない研究予算が圧縮できる点は市場にとって非常に大きい。AIブームが続くなか、こうした開発コストの問題は今後ますます注目されるだろう。
低コストで開発できた秘密は盗用?革新技術?
低コストの秘密は他のAIから学習データを盗用しているという噂もあるが真実は定かではない。
技術的には他のAIを教師役として役割を与えて、開発対象のAIを学習させるという手法が使われている可能性もあるが、倫理的な反感は買いやすいのはあまり変わらない。どちらにせよ、真実は闇の中であり、実にその国らしいとも言われている。
既存のAI開発者が驚くべき、新しい技術も多く使われているため、これら全てが低コストの秘密ではないかと言われている。
アメリカAI産業への打撃とトランプ大統領の反応
DeepSeekの躍進は、アメリカのAI企業にとって目を背けたい現実だ。チャットGPTで世界を驚かせたオープンAIや、AIに必要なGPUを提供しているエヌビディアなどが牽引してきた分野に、まさか中国のスタートアップが短期間で並んだという事実が示されたためだ。
トランプ大統領が演説で、AI分野での勝利を国として目指すべきだとの趣旨を強調したという報道もあり、政府レベルで焦りを感じている様子がうかがえる。
電気自動車市場で中国メーカーが急速に台頭し、テスラなどのアメリカ勢と拮抗するかたちになっている流れを思い起こさせるため、AIにおいても同様のシナリオが展開するのではないかとの懸念が広がっている。AIは画像生成や翻訳など多岐にわたる分野で急速に利用が拡大しており、ビジネスや教育の場面でも必須のテクノロジーになると予想されている。そのため、この分野での技術優位を失うことは米国の経済と産業にとって大きな打撃になりかねない。まだAIの具体的な将来像が定まらないなか、企業や国がどう舵を切るのかが注目の的。
中国政府の政策と規制の現実
中国政府は「新世代人工知能計画」という国家プロジェクトを掲げ、2030年までに世界のAI分野をリードする国になるという目標を明確に打ち出している。
政府が主導して潤沢な資金を投下できるため、スタートアップであっても必要な研究開発資金やインフラを得やすい構造が存在する。ただし、中国製のAIには共産党政権が望まない内容は発言できないという指摘もあり、政治的にセンシティブな情報が検索できないなどの規制が存在する。DeepSeekについても、政権の公式見解にそぐわないトピックを検索すると回答が制限される可能性があるとの報道がある。
これらの規制は国際社会から見ると表現の自由や情報の透明性に関わる大きな問題だが、中国国内では国策としてAIを強力に育成する動きが優先されている。電気自動車市場で政府の手厚い支援を背景に中国メーカーが急成長した前例を踏まえると、AI分野でも同様のパターンが繰り返される可能性は高い。海外市場に進出する際には、こうした政治的規制が障壁になるという声もあるが、コストや技術面での優位性が高ければ多くのユーザーを取り込める可能性があるため、一概に不利とは言い切れないところが複雑だ。
今後の展望と米中AI覇権争いの行方
今回の“DeepSeekショック”というべき事象、米中間のAI技術競争が新たな局面に入ったことを強く印象づけた。電気自動車や通信機器などさまざまな分野で中国企業が台頭し、世界シェアを大きく奪ってきた歴史を振り返ると、AI分野も同じような状況が起こるのでは、という考えが広がっている。エヌビディアが短期間で巨額の時価総額を失ったのも、中国発のAIが国際市場に広がり、アメリカ企業の地位を脅かすと感じた投資家が急いで売りを入れた結果といわれている。DeepSeekは現在、英語と中国語のみをサポートしているが、将来的に多言語化を進めれば多くの国の利用者にアクセスできるため、さらに普及する可能性が高い。
トランプ大統領はアメリカのAI戦略を強化する姿勢を示しているが、具体的な政策や支援策がどうなるかはまだ不透明な部分がある。米中の覇権争いにおいてAIは軍事や通信を含む幅広い領域で重要な鍵を握るため、この競争が世界経済や技術の方向性に与える影響は計り知れない。一般のユーザーにとっては、より多彩なAIサービスが登場するメリットがある一方、中国共産党の方針に合わない内容は検索できないなどの制限が存在する点を見逃せない。今後は、こうした政治的要素や国際関係の変化に加え、技術力やサービスの使いやすさなど多岐にわたる要素が絡み合う形で米中AI競争が展開されていくと予想される。
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