iPhoneが偽基地局に強制接続される!?
【新たな詐欺が話題】
近年、サイバー犯罪の手口は巧妙化しており、今まで安全だった携帯回線も、突然詐欺被害に遭う可能性が出てきています。特に最近問題となっているのが、「偽の携帯基地局への強制接続」によるフィッシング詐欺です。
2025年4月12日には東京、大阪で、スマートフォンが強制的に偽の基地局に接続され、詐欺メッセージが送信される事件が発生しました。
「偽基地局」の電波を発する詐欺
「偽基地局」とは、車に搭載され移動可能な形で設置され、周囲の4Gや5Gの電波を妨害し、自身が発信する非常に遅い2G通信へ誘導する装置です。
2Gは通信速度が極めて遅く、SNSを開くことさえ難しいレベルです。この仕組みを悪用して被害者のスマホを意図的に低速通信に接続させます。
なぜ偽の基地局に接続されてしまうのか?
携帯電話は「最も電波が強い基地局」に優先的に接続します。犯人はこの特性を悪用し、正規の基地局の電波を妨害・遮断した上で、強い電波を放つ偽の基地局を設置します。そのため、スマホが偽の基地局を本物だと誤認し、自動的に接続してしまうのです。
偽基地局に接続するとどうなる?
偽基地局に接続されると、多くの場合、「データ容量(ギガ)がなくなったので追加してください」という内容のSMSが送られてきます。このSMSは偽基地局に接続している全端末へ一斉送信されるため、被害者の電話番号を知る必要がありません。
実際の通信速度が遅いため、このメッセージを信用してしまい、記載されたリンクをクリックすると偽サイトへ誘導されます。そこで通信会社のIDやパスワードを入力すると、個人情報が盗まれ、SIMカードの不正再発行や二段階認証突破の危険があります。
主な詐欺被害は、クレジットカードの不正利用、オンラインバンキングの不正送金、還付金詐欺、架空請求などです。
偽基地局が狙うターゲット
主に狙われるのは、日本に慣れていない外国人観光客です。不自然な通信状況やメッセージでも信用してしまうため、被害が拡大しやすい傾向があります。また、今後は電波が弱い地域の一般の方も狙われる可能性があるため、注意が必要です。
偽の基地局への有効な対処法
完全に防ぐ方法はありませんが、被害リスクを軽減する方法があります。
- スマホの電波表示を確認:表示が「GMS」や「2G」となっていたら要注意。日本ではこれらは使用されていないため、すぐに怪しいと判断できます。
- 設定の確認:「2G接続」を無効化し、「4Gまたは5Gを優先」する設定にします。通常は最初からこの設定ですが、念のため確認しましょう。
- 機内モードを一時的にオンにする:偽基地局に気づいたら、機内モードを使用し通信を遮断しましょう。
設定方法はスマホ機種によって異なるため、各自の機種に応じた確認をお願いします。
偽の基地局と本物の基地局の見分け方
残念ながら、偽の基地局を明確に見分けることは困難です。ただし、以下の対策で詐欺被害リスクを減らせます。
- 電波の強弱の急激な変化に注意する
- 見知らぬ番号からのSMSや電話には反応しない
- 不審なリンクを決してタップしない
- 支払い遅延や荷物配送遅延のメッセージが来たら、公式サイトから直接確認する
- iPhone標準の「パスワード管理アプリ」を使用し、偽サイトでのパスワード自動入力を防ぐ
iPhoneの設定機能「ロックダウンモード」は有効?
一部のネット情報では、「ロックダウンモード」を使えば偽基地局を防げるという情報があります。このモードはAppleが提供する高セキュリティ設定で、以下のような制限があります。
- メッセージの添付ファイルが不可
- FaceTimeは過去に通話履歴のある人のみ可能
- Web閲覧は基本的機能のみ
- 共有アルバムやUSB接続制限
- 格安SIMプロファイルの新規導入不可
「ロックダウンモード」は日常使いでは予防に不向き!
一部の最新iPhone機種では、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ロックダウンモード」をオンにすることで、2G通信の制限が可能ですが、常時ロックダウンモードにしておくのは日常生活で不便なので、一般ユーザーにはおすすめできません。
ロックダウンモードは、政治家や企業幹部、軍人など特別にセキュリティ強化が必要な人向けです。
携帯キャリアや総務省での対策は?
携帯キャリアはネットワークの監視や基地局情報の照合で対応していますが、現状では事後対処が中心です。特に移動式の偽基地局は特定が困難で、完全な予防は難しい状況。
ソフトバンクのコメント
ソフトバンクは、疑わしい事象をすでに把握しており、関係各所と連携しながら情報収集と調査を進めていると明かしています。今後の対策についても、準備を進めている段階とのことです。
「疑わしい事象は把握しており、現在関係各所と連携して情報収集・調査を行い、対策に向けた取り組みを進めている」(ソフトバンク)
KDDI(au)のコメント
KDDIは、状況自体は認識しているものの、自社ネットワークへの影響は現時点で確認されていないとしています。ただし、引き続き慎重に状況を見守っていく方針です。
「状況は承知している。当社への影響は確認できていないが、今後も状況を注視していく」(KDDI)
楽天モバイルのコメント
楽天モバイルも同様に、発生については把握済みであるとしながらも、現段階ではサービスへの影響は確認されていないとしています。今後も継続して注視する姿勢。
「発生については把握しているが、現時点ではサービスへの具体的な影響などは確認されていない。本件については今後も注視していく」(楽天モバイル)
結論:偽基地局対策の基本は意識付け
結局のところ、最も有効な対策は各自が仕組みを理解し、日頃から注意を怠らないことに尽きます。警戒を忘れず、安全なスマホ利用を心掛けましょう。
主な偽基地局問題の対策おさらい
- 設定などで2G通信(GSM)をオフにする。
- 電波表示のアイコンをこまめに確認する。
- 怪しいSMSやリンクは絶対に開かない。
以上、安全な習慣を身に付けて、偽基地局からの被害を防ぎましょう。
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