皆さんは、スマートフォンというと何を思い浮かべますか?
おそらく、多くの方が「iPhone」と答えるでしょう。
勿論Xperiaだったり、GalaxyやZenFoneを思い浮かべる方もおられるかもしれません。
私がスマートフォンについて考えている時、ふと思い出す端末があるんです。
黒く引き締まったボディに、どこかしら健気なディスプレイ。
スマートフォンには珍しい物理キーボードを持ち合わせ、
大勢から「変わり者」と言われた、あの幻のスマートフォン。
今日はスマホのクラシックとも言われる、あの端末。
BlackBerryについて、紹介します。
幻のスマホ「BlackBerry」
一度は「Classic」というシリーズ名の元、LTEなどに対応し格安スマホとして復活を見せた、BlackBerry。
今ではすっかりと廃れてしまいましたが、そのユニークな容姿から一部のスマホファンの間では密かなブームとなった端末です。
かつては「デキるビジネスパーソン」の憧れスマホだった
まだガラケーを「ガラケー」と呼ぶ必要もなかった時代から、実は海外では「スマートフォン」という文化は存在していました。
当然ながら、今と当時ではスマートフォンの概念は大きく異なり、当時のスマートフォンの特徴として、
- 長文を入力しやすい
- PCのデータをそのまま(あるいは変換して)閲覧できる
- PCで使っているツールの一部を使える
といったことが実現できるものが、スマートフォンと呼ばれていました。
特に、BlackBerryのアイデンティティとも言えるハードウェアキーボードは、一番目の「長文が入力できる」に最大限に特化するためのスタイルと言えるでしょう。
スマホ界のクラシック
先ほどもお話しした様に、物理的なフルキーボードを搭載するということは、当時のスマートフォンにとって大前提とも言える風潮でした。
他にも、ハードウェアキーボードを搭載した古典的なスマホとして、
- Palm Treo 650
- Nokia E61
- Motorola Q
などがあります。
これらの機種は当時の海外で働くビジネスパーソンの間で、密かな支持を得ていました。
しかし、このハードウェアキーボードの有用性は初代iPhone発表の際のプレゼンテーションで覆されます。
これについては、後ほど詳しく解説します。
日本でも発売されていた!
今では、知っている人の間でも海外スマートフォンのイメージが強いBlackBerryですが、昔は日本でも、当たり前にキャリア契約のできる端末でした。
2009年2月20日、NTTドコモにてBlackBerry Bold 9000の取り扱いが開始されます。
それ以前にも8707hという機種が日本でリリースされていますが、法人向けであったため、実質的にはBold 9000が日本で最初に一般提供されたBlackBerryとなります。
ガラケーとは勿論、他のスマートフォンとは特別感の強い存在であった反面、パケット通信のためにBISという専用サービスへの加入が必要であったり、iPhoneと違ってタッチパネル非搭載モデルであったことなど、はやり人を選ぶ端末であったことは、今でも印象に残ります。
そんな、超個性派スマホBlackBerryにしかない魅力について、次章では解説していきます。
今のスマホにはない、BlackBerryの魅力
iPhoneでもAndroidでもないスマホ、BlackBerry。
その独特な魅力は、つぎの3つではないでしょうか。
- ハードウェアキーボード
- 独自OS
- 強いセレブイメージと高級感
順に解説いたします。
ハードウェアキーボード
BlackBerryの最大の魅力といえば、やはりあのハードウェアキーボードでしょう。
当時のiPhoneやAndroidスマホこそ、今では信じられないほど画面のサイズは狭いものでした。
なので、端末に対して手書きでメモを取るという人もあまりいなかったと思います。
さらに、SiriやOK Googleといった音声入力も、まだ一般的ではなかったのです。
入力といえば文字入力一択だった時代、小型+物理的なフルキーボード搭載のBlackBerryは「場所を選ばず快適に入力できる」という、文字入力に関しては最高の端末だったといえます。
特に、あの頃からTwitterやブログをやっていた人にとって、BlackBerryは「最強のTwitter端末」と言われていたほどです。
独自OS
BlackBerryには、「BlackBerry OS」という、独自のOSが搭載されていました。
この独自OSは堅牢なセキュリティ、そして当時は大活躍だったコミュニケーションツールである「Google Talk」や「Windows Live」などにも対応。
また、PCとのデータ同期にも特化した仕様となっています。
スマホが登場する前、ザウルスやWindows CEを搭載したPDAに憧れた人にとって、これは「夢が叶った」と言えるでしょう。
PCで作業していた内容やスケジュールを、出かける前にサッとスマホに同期。
それを隙間時間に確認するというものですが、これに専門的に特化していたのがBlackBerryなのです。
今では、PCとスマホを連携させるのは当たり前な人も多いかもしれませんが、当時は本当に憧れたものです。
強いセレブイメージと高級感
なんといっても、BlackBerryは見た目がカッコいい!
確かに、他にもカッコいいスマートフォンは当時も色々とありましたし、iPhoneこそオシャレスマホの代名詞であったかもしれません。
とはいえ、「カッコいい」というのは、好みの問題です。
iPhoneを見て「確かにオシャレだけど、ちょーっとなぁ・・・」という人には、別のカッコいいの選択肢が必要となってくるのです。
ただでさえ、スマホを持つだけで特別感を得られた当時。
どうせなら「特別の更に特別が欲しい」という気持ちはあって当然。
そこを満たしてくれるのが、スマホという特別のなかの、更に特別な存在であるBlackBerryだったのです。
その「特別とは何か?」というと、結局は「キーボード」や「独自OS」となってしまうのですが、それに加えてもう一つ。
実はなんと、あの第44代アメリカ合衆国大統領・オバマ氏もBlackBerryユーザーだったのです。
また海外セレブの多くはBlackBerry端末を好む傾向にあるとのこと。
やはり、BlackBerryは「わかる人にはわかる」魅力のあるスマホだったんですね。
Blackberryが廃れた理由
ここまで聞くと、BlackBerryはもっと支持されてもよかったスマホの様に思えます。
しかし、BlackBerryは時代の変化とともに、その姿を消すこととなるのです。
BlackBerryが廃れていった理由とは、一体何なのでしょうか?
仇となったハードウェアキーボード
先ほどから「BlackBerryは凄い!」とお話ししている最大の理由である、ハードウェアキーボード。
実は、これがBlackBerryが廃れることとなる最大の理由でもあったのです。
初代iPhoneのプレゼンテーションの際、スティーブ・ジョブズさんはハードウェアキーボードについて、
「全てのアプリが、キーボードを必要とするわけではない」
と話しています。
確かに、横画面でこそ利便性を発揮するゲームや動画視聴アプリだと、キーボードが本体の面積を占めてしまうのは不都合ですね。
特に5Gサービスが始まった今、エンターテインメント系アプリやサービスはもっと盛んになるはず。
そうなると、スマホのハード自体も映像に特化していく一方と予想されます。
きっとスティーブ・ジョブズさんは、こうしたスマホ文化の将来を予想されていたのでしょう。
だからこそ、iPhoneを全面タッチパネルにされたのだと思います。
独自OSが普及しなかった
またBlackBerryのもう一つのアイデンティティとも言えるBlackBerry OS。
これも、開発者が互換性を実現しきれなかったのも、廃れていった理由ではないでしょうか?
スマホアプリを開発するとなると、大半の場合はiPhone版とAndroid版の両者をリリースすることになります。
その上、さらに元々マイナーであったBlackBerryにも対応するか否かとなると、それは特別な場合に限られてくるでしょう。
「特別な存在」であるが故の宿命を迎えることとなった、BlackBerry。
しかし、今の私たちにとって重要となるスマホ文化に「どんな端末にもない美しさ」を与えてくれたことには、変わりありません。
まとめ
では、今回のまとめに入りましょう。
- BlackBerryは、昔のスマホのスタイルが継承された端末
- 日本では2009年にNTTドコモから発売
- 海外ではセレブに人気のスマホ
- しかし、スタイルが現代の需要に合わず、廃れていった
一時期はOSをAndroidに変更することによるブランドの延命が図られましたが、結局は姿を消すことになったBlackBerry。
尚、現在はAIを駆使したサイバーセキュリティ開発を行うブランドとなっています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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